ご主人様だけに一途
「どうぞ」
すすめられるままに、玄関で靴を脱ぎ。
階段を登り。
ちょっとだけ、平常を取り戻した心で
考えてみる。
葉音ちゃんのお父さんが、いない。
この家に、
葉音ちゃんの家族が、誰もいない。
ということは……
ひゃぁぁあぁぁ!!
この家に
『大好きな子と、二人きり』って
ことじゃん!!
とんでもない現実に気づいた、僕の心臓は
ハイなビートを、叩き始めちゃった。
落ち着け、落ち着け。
僕の心臓。
ウサギみたいに、飛び跳ねないで。
亀みたいに、ノロノロビートに戻って!