ご主人様だけに一途



心を穏やかにしたくて、
胸に手を当てているのに

鼓動は高まる一方で。



「私の部屋……
 散らかってて申し訳ないけど……
 どうぞ……」


テレ声を震えさえた、葉音ちゃんに



「かわいい……部屋だね……」


テレ声を返すのが、精いっぱい。





なんで葉音ちゃん。

学校にいる時みたいに、
穏やかに笑っていないの?



顔なんか、真っ赤に染めちゃって。

動揺しっぱなしみたいに、
目を泳がせているの?




やめて。やめて。


僕の緊張がフルマックスで、
ドキドキの針が、振り切れちゃうから!



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