ご主人様だけに一途
「そうだよね? ごめんね。
なんか一人で、舞い上がっちゃって」
大好きな子に謝られると、
こっちも辛いなぁ……
「僕の方こそ、力になれなくてごめんね」
「全然、
あきと君のせいとかじゃないから。
謝らないで」
葉音ちゃんの苦笑いが、痛々しい。
好きな子の
がっかりしながら俯く顔なんて、
見たくなかったのに……
「あきと君、
今日は私の家に来てくれて、ありがとう」
「あ……うん」
「お菓子、全部持って帰ってね。
今、袋に詰めるから」
ひゃっ?
これで、僕たち二人だけの時間は終了?
僕、もう帰んなきゃダメなの?
肩を落としている僕に
気づいていない葉音ちゃんは、
紙袋に手際よく、お菓子を詰め。
「玄関まで、送るね」
もう僕と話す必要なんて無いって顔で、
部屋を出て、階段を下りていく。