ご主人様だけに一途
玄関に、立ちつくす僕。
――葉音ちゃんと二人だけの
夢みたいな空間から、帰りたくない。
未練たらしい思いが強くて、
足が固まったまま動かない。
葉音ちゃんは、突然、靴を履き
思いつめた顔で、僕の前まで来ると
顔を真っ赤に染め
俯いて
僕のダボダボパーカーの裾を、
ぎゅっと掴んできた。
ひゃっ?
何が起こった??
大好きな子の予想外の行動に
僕の心がピョンピョンと
駆け出してしまう。