ご主人様だけに一途
「力になれなくて……ごめんね……」
僕の声に、
葉音ちゃんがハッと顔を上げ
「こっちこそ、ごめん。
変なこと言っちゃって」
僕のパーカーから手を放し
「引き止めちゃって、ごめんね」
玄関のドアを開けてくれたから
僕はもう、葉音ちゃんの家から
出て行くしかなくなってしまった。
「お邪魔……しました……」
「あきと君、また月曜日にね」
「……うん。……学校でね」
「あっ、やっぱり待って」
「……えっ?」