ご主人様だけに一途



僕の心が
焼けただれた様に、ヒリヒリと痛む。



恋の病に効く薬なんて、
好きな子の笑顔だけなのに……



『雅光君のことも、
 みんなには内緒にしてね』


葉音ちゃんが、
痛々しい笑顔を見せたから


僕の心の傷は、
どんどん深くえぐられて

痛くて痛くて、耐えきれない。




――やっぱり、葉音ちゃんは

  雅光君のことが好きなんだぁ。




受け止めきれないほどのショックに
襲われた僕の指は

ペンを動かすことすらできなくて。


なんとか作り笑顔を顔に貼り付け

大好きな子の消しゴムを
葉音ちゃんの机に置くことが、
精いっぱいだった。




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