ご主人様だけに一途



『雅光君は……』


『俺がなんだよ?』


『絶対に……
 断ると思ったから……』


『は?』


『私なんかの…お願い…なんて……
 絶対に…受け入れないでしょ……?』




葉音ちゃんの途切れ途切れで
自信なさげな声が、
静かな公園に消えていく。




『なんだよ……それ……』



雅光君の、やけに悲しそうな声まで
弱々しく消えて行って……


それから二人とも

ベンチに座ったまま、
何も話さなくなってしまった。




無言の時間は、2分ほど続き


その静寂を解いたのは、
弱々しい雅光君の声だった。


< 66 / 96 >

この作品をシェア

pagetop