ご主人様だけに一途



雅光君の男らしくて優しい声が

盗み聞き中の僕の耳にも
入りこんでくる。



僕には絶対に奏でられない
ワイルドな色気声。




きっと雅光君は
僕よりも葉音ちゃんへの愛が強くて。


葉音ちゃんは
男らしい雅光君のことが

大好きでたまらないんだろうな。





二人の想いの強さを目の当たりにして、
僕の胸が痛む。



ズキズキなんて、可愛いものじゃなくて。

割れたガラスの破片で、
心臓をえぐられるくらいの、激痛で。


苦しくて。

たえられなくて。


顔が歪んで、
この場に立っていられないほど。


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