ご主人様だけに一途



『アキ、お願い!』


ん?


『俺の頭に、触覚がぴょんって出ちゃったら、
 『さみしい』の合図だから。
 俺のこと、めちゃくちゃに甘やかしてね』



ど……どうやって……

甘やかせばいいのやら……



想像をはるかに超える
激甘ボイスに

僕の首に、冷汗がタラり。




もし僕が……

獣人のウサギ役として
ステージに立ったら……



この生クリーム星の王子みたいに
甘ったるいセリフを

ファンに、
飛ばさなきゃいけないってことだよね?



ムリ。ムリ。

そんなの、絶対にムリ!!



大好きな子にさえ、
甘い言葉なんて、囁けないのに……




でも……


僕の中に確かにある願望が
心からヒョコリと顔を出す。


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