ご主人様だけに一途
玄関ドアが開いた。
「あきと君?」
ビックリ顔の葉音ちゃんに、
僕は真剣な瞳を突き刺す。
「葉音ちゃん、教えて」
「えっ?」
「なんで、
僕が良いって思ってくれたの?」
「それって……ウサギ獣人のこと?」
「そう。
キラキラしたステージに
堂々と立てる人なんて、
他にたくさんいるでしょ?」
ウサギっぽい人だって、
僕以外にもたくさんいるし……
葉音ちゃんは
「お庭のベンチに座って、話さない?」
そう言って、
僕をお庭に案内してくれた。
家のリビングからこぼれる
オレンジ色の光が
ぼんやりと
僕と葉音ちゃんを照らしている。
並んでベンチに座ると
葉音ちゃんは、
星空を見上げて微笑んだ。