異世界転移したら、そこで強力な治癒術師になってました。

森で一夜を明かし、朝起きれば妖精さんからの差し入れがあるなんて、優しいなと思う。

姿を見せない妖精さんたちが差し入れてくれたのは、一番美味しく、ちょうど食べ頃になっていたフルーツを取ってきてくれたみたいで、どれも甘くって美味しかった。


「持ってきてくれた子達って、もうこの辺りには居ないのかな?」


私の疑問にサリーンが答えてくれた。


「そうね、持ってきてくれた子達は恥ずかしがり屋さんだから。最初のひと口を見届けたら帰って行ったわ」


なるほど、私が食べるまでは見届けてくれてたんだ……。

届くかは分からないけれど、お礼は言うべきよね。


「美味しい果物をありがとう。嬉しかったよ」


言葉よ、届けと願って口にすれば風に流されるように音が渡っていく感じがした。


「ホント、ユウは魔法をあっという間に自分のものにするわね……


私の様子を見て、アリーンはすこし呆れたような顔をして言う。
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