異世界転移したら、そこで強力な治癒術師になってました。
その横で、大きい体でグズグズ言ってるのはクリストフさん。
「父様、いい加減泣き止みなよ。姉様困っちゃうわ!」
ジェシカちゃんに突っ込まれるも、なかなか涙は止まらないようで、グズグズ言いつつもクリストフさんも言った。
「ユウ、き、綺麗だよォ!こんな早く嫁にやりたくねぇぇぇぇ!」
「あら、まぁ、最後が本音だわねぇ。いい加減諦めなさい。ベイルならすぐ里帰りすることも出来るんだから」
「だって、せっかく来た娘なのにぃぃぃ」
先日、結婚前の挨拶をした時に聞いた。
マリアさんとクリストフさんはマリアさんが十八歳で結婚して、直ぐに子どもが出来ていた。
しかし、その子は死産。
少し、私の方が歳は上だけれど、二人は私を見た時に直感的に、その子が帰ってきたと思ったという。
私も直ぐに二人に慣れたことに少し不思議ではあったけれど、その話を聞いてなにかが腑に落ちた。
そうだったんだと、思えたのだ。
そんな二人の元からお嫁に行ける、私は幸せだなと思う。
「お父さん、私ちゃんと幸せよ。だからキリッとした顔で、一緒に歩いてね?」
元に戻るまで、ちょっと時間がかかったのはご愛嬌としておきましょう。
そんなてんやわんやがあっても式は無事に済んで、私はユウ・アルバ・ホグナーとなったのだった。