異世界転移したら、そこで強力な治癒術師になってました。
まずはコップ一杯の水を出す魔法から
さて、サリーンとアリーンに促されてここに来てまだ一時間も経っていないが、魔法を使うことになった。


このフューラでは誰にでも魔力があり、その大きさこそ差があれど、誰でも魔法が使える世界なのだそう。

魔力の大きさが寿命にも関わり、力が強いほど長寿になるし、老化もゆっくりになるとか色んなことがあるらしい。

妖精さんの性格なのか、私への説明はわりとざっくりしたものだった。


そして、魔法の成功に重要なのが想像力。

自分が望むその現象をいかに詳細に思い描けるかによって成功や引き出される魔力の大きさに違いが出るのだとか。


うん、とってもファンタジーな感じが満載だなと思っていると、アリーンはサラっと言った。


「さ、まずはこのカップに丁度いいだけの水が入るのをイメージして入れてみて!」


なんて実践的でスパルタな感じの魔法訓練なのだろう。

ま、なるようになれの精神だよね。 ここまで来ると……。

ちょっと遠い目になりつつあった私に手渡されたカップはなんの変哲もない、真っ白なカップだった。

手渡されたそれを眺めつつ、これに丁度いい量の水が入っているのを想像すると、カップの底からブワッと湧き出るように水が入った。

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