仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
フローラは貧乏な家のためいつもやりくりに奔走する父を見てきたからか、少しでも手伝えたらと統治管理の勉強にも励んだつもりだった。だがどうにも苦手のようで身に付かず、代わりになる手助けをと思いいろんなことに手を出しなんでもやってきた。
しかし父からはそんな事ばかりしてないで淑女としての勉強をしろとかいつかは嫁ぐのだから大人しく令嬢らしくしろとか口酸っぱく言われ、自分はなにをしても手助けにはならないのだと痛感した。
父からすると愛娘が令嬢らしくないことばかりするのがいたたまれなかっただけなのだが、そうとは知らずフローラは五年前に母が亡くなってから男手ひとつで育ててくれた父に恩返しするにはもう有力貴族との結婚だけだと考えた。
由緒正しい伯爵家で宰相補佐官であり将来有望なユーリスとの結婚は有益だし、と、家のためにと乗り気のフローラだがちょっとだけ彼に興味があったのだ。
片田舎でも噂轟く氷の仮面の貴公子さま。
若干二十二歳で優秀な宰相補佐官なのはもちろん、勉学は八年制の帝国学校唯一の七回学年主席を取り伝説となっている。
十歳の時に即興で作ったという曲は舞踏会の定番曲になり、建築に興味があるというだけで本職が舌を巻くほどの完璧な設計図を書き今やそれは帝国図書館として実在している。趣味だという絵画や彫刻も卓越した出来栄えでいくら払ってでもほしいという人間が後を絶たなかった。
何をやらせても素晴らしく神童という名をほしいままにしたユーリス。
類まれなる才能を持つ彼のその仮面の下にどんな素顔があるのか。
好奇心旺盛な彼女のただの怖いもの見たさというのも否めないが、父のため好奇心のためフローラは彼に会うのが楽しみでワクワクしていた。
しかし父からはそんな事ばかりしてないで淑女としての勉強をしろとかいつかは嫁ぐのだから大人しく令嬢らしくしろとか口酸っぱく言われ、自分はなにをしても手助けにはならないのだと痛感した。
父からすると愛娘が令嬢らしくないことばかりするのがいたたまれなかっただけなのだが、そうとは知らずフローラは五年前に母が亡くなってから男手ひとつで育ててくれた父に恩返しするにはもう有力貴族との結婚だけだと考えた。
由緒正しい伯爵家で宰相補佐官であり将来有望なユーリスとの結婚は有益だし、と、家のためにと乗り気のフローラだがちょっとだけ彼に興味があったのだ。
片田舎でも噂轟く氷の仮面の貴公子さま。
若干二十二歳で優秀な宰相補佐官なのはもちろん、勉学は八年制の帝国学校唯一の七回学年主席を取り伝説となっている。
十歳の時に即興で作ったという曲は舞踏会の定番曲になり、建築に興味があるというだけで本職が舌を巻くほどの完璧な設計図を書き今やそれは帝国図書館として実在している。趣味だという絵画や彫刻も卓越した出来栄えでいくら払ってでもほしいという人間が後を絶たなかった。
何をやらせても素晴らしく神童という名をほしいままにしたユーリス。
類まれなる才能を持つ彼のその仮面の下にどんな素顔があるのか。
好奇心旺盛な彼女のただの怖いもの見たさというのも否めないが、父のため好奇心のためフローラは彼に会うのが楽しみでワクワクしていた。