仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
「さあユーリス!この仮面をつけて彷徨う蝶を捕まえるのだ!」
「え?私がつけるんですか?」
思わず聞いてしまったユーリスに皇帝はにやりと笑う。
「そうだよ~ユーリスのために作らせたんだから!ちなみにこっちがわたしのだ!」
黒く周りに宝石の付いた仮面を出しノリノリの皇帝にユーリスは頭痛がして額を押さえた。
(ったく、子供かっ!)
大体、既婚者の皇帝が出る気満々とか、皇妃に大目玉食らうのは目に見えてる。
嬉々として仮面自慢をする皇帝を薄目で睨んだ。
「あ~それにしても、フローラも誘ったのだが断られたのが残念だ。こんな唐変木のユーリスを婚約者に宛がってしまって悪いことをした。フローラにも新しい出会いを与えてやりたかったのになぁ」
フローラの名が出てユーリスはぎくりと止まる。
「あ、彼女がどこにいるのか聞いても答えないぞ?内緒だからな。ま、ユーリスは、この仮面舞踏会での出会いに期待しろよ?」
その言い方にムッとしてユーリスはぎろりと皇帝を睨み執務室を出て行った。
「まったく、悪ふざけがすぎる!」
誰もいない回廊でユーリスは鬱憤を晴らすように叫んだ。
皇帝のお節介にユーリスはムカムカするものの、フローラの話をされると反論できずに逃げ出してしまう。最近こういう展開が多い。
皇帝の言葉はユーリスを動揺させる。
『この仮面舞踏会で、お前は、最愛の人を見つけるはずだ』
(彼女はいないというのに運命の人など現れるものか!)
思った瞬間また動揺した。ユーリスの心の中に彼女が棲みついてるのだと気づく。
「……会いたい、なぁ」
本音がぽつりと零れ落ちた。
謝るどころかもう会うこともできないと諦めてしまった人。
許されるのであれば遠くからでもいいからもうひと目だけ彼女を目に留めたい。
ユーリスは鬱積した気持ちを追い出すように深くため息を吐いた。
「え?私がつけるんですか?」
思わず聞いてしまったユーリスに皇帝はにやりと笑う。
「そうだよ~ユーリスのために作らせたんだから!ちなみにこっちがわたしのだ!」
黒く周りに宝石の付いた仮面を出しノリノリの皇帝にユーリスは頭痛がして額を押さえた。
(ったく、子供かっ!)
大体、既婚者の皇帝が出る気満々とか、皇妃に大目玉食らうのは目に見えてる。
嬉々として仮面自慢をする皇帝を薄目で睨んだ。
「あ~それにしても、フローラも誘ったのだが断られたのが残念だ。こんな唐変木のユーリスを婚約者に宛がってしまって悪いことをした。フローラにも新しい出会いを与えてやりたかったのになぁ」
フローラの名が出てユーリスはぎくりと止まる。
「あ、彼女がどこにいるのか聞いても答えないぞ?内緒だからな。ま、ユーリスは、この仮面舞踏会での出会いに期待しろよ?」
その言い方にムッとしてユーリスはぎろりと皇帝を睨み執務室を出て行った。
「まったく、悪ふざけがすぎる!」
誰もいない回廊でユーリスは鬱憤を晴らすように叫んだ。
皇帝のお節介にユーリスはムカムカするものの、フローラの話をされると反論できずに逃げ出してしまう。最近こういう展開が多い。
皇帝の言葉はユーリスを動揺させる。
『この仮面舞踏会で、お前は、最愛の人を見つけるはずだ』
(彼女はいないというのに運命の人など現れるものか!)
思った瞬間また動揺した。ユーリスの心の中に彼女が棲みついてるのだと気づく。
「……会いたい、なぁ」
本音がぽつりと零れ落ちた。
謝るどころかもう会うこともできないと諦めてしまった人。
許されるのであれば遠くからでもいいからもうひと目だけ彼女を目に留めたい。
ユーリスは鬱積した気持ちを追い出すように深くため息を吐いた。