仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
一瞬これで終わるとほっとした男爵はまだあるのかと顔を強張らせる。
「な、なんでしょう?」
「今日の茶会は侯爵以上の貴族の集まりだと聞いていましたが、なぜ男爵のあなたがあの茶会に?」
フローラとは関係ない質問に気が抜けた男爵はすらすらと答える。
「ああ、それは人脈を広めるいい機会だからと皇帝陛下のお計らいで。国外れの小さな領地ですがわがアトロシカ領は森に囲まれているため年中涼しくのどかなところで、避暑地として貴族の別荘を建てるには打って付けだと陛下よりご助言をいただきましたので売り込みを」
「そうですか。私の耳にはフローラ嬢を売り込んでいたように聞こえましたが?」
「いやっそれはそのっ!娘自慢をしたかっただけでして」
はははははっと乾いた笑いをしてごまかそうとする男爵にユーリスは深いため息をついた。
「男爵、私はフローラ嬢と婚約解消した覚えはない。早まった行為は慎んでいただきたい」
「あ、はい……ん?」
思わず返事をした後、キョトンとした男爵に失礼しますと礼をしてユーリスは踵を返して去っていった。
屋敷から追い出したフローラとはそのまま婚約解消と思っていたが、ヒルト伯爵はまだフローラを婚約者と認識しているということなのだろうか?
「どういうことだ?」
残された男爵は首を傾げた。
「な、なんでしょう?」
「今日の茶会は侯爵以上の貴族の集まりだと聞いていましたが、なぜ男爵のあなたがあの茶会に?」
フローラとは関係ない質問に気が抜けた男爵はすらすらと答える。
「ああ、それは人脈を広めるいい機会だからと皇帝陛下のお計らいで。国外れの小さな領地ですがわがアトロシカ領は森に囲まれているため年中涼しくのどかなところで、避暑地として貴族の別荘を建てるには打って付けだと陛下よりご助言をいただきましたので売り込みを」
「そうですか。私の耳にはフローラ嬢を売り込んでいたように聞こえましたが?」
「いやっそれはそのっ!娘自慢をしたかっただけでして」
はははははっと乾いた笑いをしてごまかそうとする男爵にユーリスは深いため息をついた。
「男爵、私はフローラ嬢と婚約解消した覚えはない。早まった行為は慎んでいただきたい」
「あ、はい……ん?」
思わず返事をした後、キョトンとした男爵に失礼しますと礼をしてユーリスは踵を返して去っていった。
屋敷から追い出したフローラとはそのまま婚約解消と思っていたが、ヒルト伯爵はまだフローラを婚約者と認識しているということなのだろうか?
「どういうことだ?」
残された男爵は首を傾げた。