仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
そうして、中心都市ロムバスに着いたフローラは父と共に世界一美しいと名高いオーヴェルヌ宮殿へと赴いた。
広大な敷地の中央にある白亜の宮殿はとてつもなく大きく煌びやかで初めて見たフローラは、案内をしてくれる侍従の後ろを歩きながら興味津々できょろきょろと周りを見ては後れを取り父に窘められた。
(置いてかれたら絶対迷子になるわ)
そう思うも興味はそそられてしまう。
しかしそれも一際豪華な彫刻が施されたドアの前に着き、侍従に「こちらで皇帝がお待ちです」と言われては、物見遊山な気持ちも一気に緊張に変わった。

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