仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
「もっとあなたのことが知りたい。お名前を、教えてくれませんか?」
「で、でもその……」
仮面から覗く熱い視線が薄暗くてもわかるようだ。でも彼はユーリスではない。流されそうになる心が忘れられない人を思い出して立ち止まる。
落ち着こうと一つ息を吐いて背筋を伸ばした。
「今宵は仮面舞踏会。皆本来の自分を隠しているのですから名を聞くのは反則ですよ」
「そうですね、これは無粋でした。では、あなたのことはユリシスと呼んでもいいですか?」
「ユリシス?」
「ええ、ユリシスとは青い蝶の名前で幸せを呼ぶと言われています」
「まあ、素敵。では私のことはユリシスとお呼びください」
青いドレスと蝶の仮面から連想したのだろう。幸せを呼ぶというのもいいがユーリスの名に似ていてフローラはその名を気に入った。
「ではあなたはなんとお呼びすればいいでしょう?」
「あなたがお決めください」
「私が、ですか?そうですね……薔薇の君というのはどうでしょう?」
「薔薇の君……」
暫く考えてもユリシスのような気の利いた名前の出てこないフローラは彼のバラの仮面を見て思い付きで言ってみたのだが、呟いたまま絶句してるような彼を見て急に恥ずかしくなってきた。
ちょっとさすがにダサかったろうか。
「ごめんなさい、お気に召しませんよね。今のはなしです!え、と……ミッキー、プルート、ドナルド、、、」
「あ、いえ、私のことは薔薇の君とお呼びください」
なんとかかっこいい名前を引き出そうと名前を思い浮かべるフローラに、気を使ってくれてるのか男性はそれでいいと言って、結局「ユリシス」「薔薇の君」と呼び合うことにした。
「で、でもその……」
仮面から覗く熱い視線が薄暗くてもわかるようだ。でも彼はユーリスではない。流されそうになる心が忘れられない人を思い出して立ち止まる。
落ち着こうと一つ息を吐いて背筋を伸ばした。
「今宵は仮面舞踏会。皆本来の自分を隠しているのですから名を聞くのは反則ですよ」
「そうですね、これは無粋でした。では、あなたのことはユリシスと呼んでもいいですか?」
「ユリシス?」
「ええ、ユリシスとは青い蝶の名前で幸せを呼ぶと言われています」
「まあ、素敵。では私のことはユリシスとお呼びください」
青いドレスと蝶の仮面から連想したのだろう。幸せを呼ぶというのもいいがユーリスの名に似ていてフローラはその名を気に入った。
「ではあなたはなんとお呼びすればいいでしょう?」
「あなたがお決めください」
「私が、ですか?そうですね……薔薇の君というのはどうでしょう?」
「薔薇の君……」
暫く考えてもユリシスのような気の利いた名前の出てこないフローラは彼のバラの仮面を見て思い付きで言ってみたのだが、呟いたまま絶句してるような彼を見て急に恥ずかしくなってきた。
ちょっとさすがにダサかったろうか。
「ごめんなさい、お気に召しませんよね。今のはなしです!え、と……ミッキー、プルート、ドナルド、、、」
「あ、いえ、私のことは薔薇の君とお呼びください」
なんとかかっこいい名前を引き出そうと名前を思い浮かべるフローラに、気を使ってくれてるのか男性はそれでいいと言って、結局「ユリシス」「薔薇の君」と呼び合うことにした。