仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
薔薇の君はフローラの後れ毛を指に絡ませ、こてんと首を傾げた。
それが意外にも近く吐息がかかりそうでフローラの思考がそわそわしだす。
「なぜ黒く染めたのです?」
「あ、でも洗えば元に戻ると……え?」
不意に質問され、なぜ染めたとわかったのだろう?とふと我に返って今度はフローラがこてんと首を傾げる。
「黒髪も似合ってはいるが、私は亜麻色の髪の方が好きだ」
そう言った薔薇の君は指に絡ませた髪の毛にキスをした。
「え……えっ!……ええっ!」
まさかのキスに混乱したフローラは言葉の意味を理解するのに数秒掛かった。
そして、薔薇の君の髪を絡めた手にしている手袋に小さく歪な刺繍がしてあるのに気づき凝視、さらに大混乱。
「あっ、あなたはっ」
「しっ、騒いでは周りに迷惑です」
つい声を張り上げてしまったフローラの唇に薔薇の君の人差し指が触れた。
それだけで胸の鼓動は狂ったようにバクバクと騒ぎ出す。
まさかの出来事に心も体もついていかずにぶるぶると震えだした。
「夜風にあたりすぎて冷えてきましたね。もう夜も更けてきた。帰りましょう。お送りします」
驚きすぎて言葉が出てこないフローラは薔薇の君に手を引かれ、舞踏会会場には入らずテラスの階段で庭に降りた。
それが意外にも近く吐息がかかりそうでフローラの思考がそわそわしだす。
「なぜ黒く染めたのです?」
「あ、でも洗えば元に戻ると……え?」
不意に質問され、なぜ染めたとわかったのだろう?とふと我に返って今度はフローラがこてんと首を傾げる。
「黒髪も似合ってはいるが、私は亜麻色の髪の方が好きだ」
そう言った薔薇の君は指に絡ませた髪の毛にキスをした。
「え……えっ!……ええっ!」
まさかのキスに混乱したフローラは言葉の意味を理解するのに数秒掛かった。
そして、薔薇の君の髪を絡めた手にしている手袋に小さく歪な刺繍がしてあるのに気づき凝視、さらに大混乱。
「あっ、あなたはっ」
「しっ、騒いでは周りに迷惑です」
つい声を張り上げてしまったフローラの唇に薔薇の君の人差し指が触れた。
それだけで胸の鼓動は狂ったようにバクバクと騒ぎ出す。
まさかの出来事に心も体もついていかずにぶるぶると震えだした。
「夜風にあたりすぎて冷えてきましたね。もう夜も更けてきた。帰りましょう。お送りします」
驚きすぎて言葉が出てこないフローラは薔薇の君に手を引かれ、舞踏会会場には入らずテラスの階段で庭に降りた。