仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
「うぉっほんっ!いやあ、よかったよかった」
幸せの余韻に浸っていると皇帝の遠慮のない咳払いで我に返ったユーリスは慌ててフローラと離れる。
そうだ、皇帝一家が目の前にいたのをつい忘れてしまっていた。
恥ずかしくってユーリスの顔は赤らみ不機嫌に顔がゆがむ。フローラはまだ夢心地なのか赤い顔でフワフワしていた。
皇妃はにこにこ。男爵は目に涙を溜め、子供たちはなぜか感動したように目をキラキラしていた。
「まさに雨降って地固まるだな!元さやに納まって私はうれしいぞ」
「別に、陛下のために私は!」
「やはり私の目に狂いはなかった!なあ、ユーリス?」
ユーリスの反論にかぶせるように言って皇帝は耳元で囁く。
「まあ、まずまずというところかな。私としてはもっとはっきり愛を叫んでほしいところだったが」
「そんなことしませんよ!」
からかわれてムッとするユーリスに皇帝は嬉しそうに笑う。
ほんとにおせっかいな人だ。けど、今回ばかりは皇帝のおせっかいに助けられた。
「ありがとうございます。陛下」
ユーリスは今回ばかりは素直に敬意と感謝を込めて胸に手を当て礼をした。
「ふふ、そこは"ジェイありがとう"でいいのだぞ?」
兄代わりとして当然のことをしたのだと笑う皇帝にユーリスは気が抜けたように頬を緩めた。
皇帝はバシバシとユーリスの背中を叩き上機嫌だ。
「お前はやはり愛情深い男だ。フローラ嬢をどれほど溺愛するのかこれからが楽しみだな」
「あなたの底抜けの愛情には敵わない。尊敬しますよ。たまに鬱陶しいけど」
「ん?今なんと申した?」
「いいえなんでもありません」
背中が痛いのを何とか我慢して、ぼそりと呟いたのは皇帝には聞こえなかったようだ。
聞かれたら最後皇帝が調子に乗るのは目に見えている。
首を振って聞かれなかったことにほっとした。
幸せの余韻に浸っていると皇帝の遠慮のない咳払いで我に返ったユーリスは慌ててフローラと離れる。
そうだ、皇帝一家が目の前にいたのをつい忘れてしまっていた。
恥ずかしくってユーリスの顔は赤らみ不機嫌に顔がゆがむ。フローラはまだ夢心地なのか赤い顔でフワフワしていた。
皇妃はにこにこ。男爵は目に涙を溜め、子供たちはなぜか感動したように目をキラキラしていた。
「まさに雨降って地固まるだな!元さやに納まって私はうれしいぞ」
「別に、陛下のために私は!」
「やはり私の目に狂いはなかった!なあ、ユーリス?」
ユーリスの反論にかぶせるように言って皇帝は耳元で囁く。
「まあ、まずまずというところかな。私としてはもっとはっきり愛を叫んでほしいところだったが」
「そんなことしませんよ!」
からかわれてムッとするユーリスに皇帝は嬉しそうに笑う。
ほんとにおせっかいな人だ。けど、今回ばかりは皇帝のおせっかいに助けられた。
「ありがとうございます。陛下」
ユーリスは今回ばかりは素直に敬意と感謝を込めて胸に手を当て礼をした。
「ふふ、そこは"ジェイありがとう"でいいのだぞ?」
兄代わりとして当然のことをしたのだと笑う皇帝にユーリスは気が抜けたように頬を緩めた。
皇帝はバシバシとユーリスの背中を叩き上機嫌だ。
「お前はやはり愛情深い男だ。フローラ嬢をどれほど溺愛するのかこれからが楽しみだな」
「あなたの底抜けの愛情には敵わない。尊敬しますよ。たまに鬱陶しいけど」
「ん?今なんと申した?」
「いいえなんでもありません」
背中が痛いのを何とか我慢して、ぼそりと呟いたのは皇帝には聞こえなかったようだ。
聞かれたら最後皇帝が調子に乗るのは目に見えている。
首を振って聞かれなかったことにほっとした。