仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
しかし、ユーリスは未だに手袋をはめたまま。素顔もフローラに見せることができないでいる。
自分を慕っていると言ってくれたフローラの気持ちを疑っているわけではないが、フローラの顔が驚愕に変わる想像をしてしまうと、ユーリスはまだ自分のすべてを曝け出す勇気がない。
本当はもっと触れ合いたいしすべてを知ってほしいと思う。でも一度手が触れ合ったときには心臓が飛び出すかと思うほど焦って逃げ出したほどだ、意気地なしのユーリスは、この幸せなひとときを手放したくないばかりになにも言わないでいてくれるフローラに甘えてしまっている。
(なんて情けない)
自分の不甲斐なさに反省しているとかわいい声に呼ばれた気がした。
「……さま、ユーリスさま」
「あ、なんだ、フローラ」
「難しいお顔をして、どうかされました?」
見上げてくる瞳は不安そうに揺れている。そんな顔も声も愛おしいと思うのは心底フローラに惚れているからなのだろうか。
このまま、素顔を見せずにいられたらどんなにいいだろう。
無理な願いが頭に浮かんで苦笑いが込み上げたユーリスは何でもないというように首を横に振った。
きゅっと握った細い手は自分の肘にかけさせ、腕を組んでまた歩き出す。
手を繋いだよりもより密着する体制にフローラはうれしそうに頬を緩め手はしっかりユーリスの腕に絡み力がこもるのを感じる。
フローラがちらりと上目遣いに見上げてきて無意識にふわりと笑うと頬がほんのり色付いてはにかむ姿に癒されて、ユーリスはこの幸せを手放したくないと強く思った。
自分を慕っていると言ってくれたフローラの気持ちを疑っているわけではないが、フローラの顔が驚愕に変わる想像をしてしまうと、ユーリスはまだ自分のすべてを曝け出す勇気がない。
本当はもっと触れ合いたいしすべてを知ってほしいと思う。でも一度手が触れ合ったときには心臓が飛び出すかと思うほど焦って逃げ出したほどだ、意気地なしのユーリスは、この幸せなひとときを手放したくないばかりになにも言わないでいてくれるフローラに甘えてしまっている。
(なんて情けない)
自分の不甲斐なさに反省しているとかわいい声に呼ばれた気がした。
「……さま、ユーリスさま」
「あ、なんだ、フローラ」
「難しいお顔をして、どうかされました?」
見上げてくる瞳は不安そうに揺れている。そんな顔も声も愛おしいと思うのは心底フローラに惚れているからなのだろうか。
このまま、素顔を見せずにいられたらどんなにいいだろう。
無理な願いが頭に浮かんで苦笑いが込み上げたユーリスは何でもないというように首を横に振った。
きゅっと握った細い手は自分の肘にかけさせ、腕を組んでまた歩き出す。
手を繋いだよりもより密着する体制にフローラはうれしそうに頬を緩め手はしっかりユーリスの腕に絡み力がこもるのを感じる。
フローラがちらりと上目遣いに見上げてきて無意識にふわりと笑うと頬がほんのり色付いてはにかむ姿に癒されて、ユーリスはこの幸せを手放したくないと強く思った。