仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
「ユーリスさま、夕食の用意が出来ました」
ベリル執事が呼びに来て食欲はないが重い腰を上げて食堂を訪れた。
そこには居ないはずの彼女が座って待っていた。
不安げな顔で俯いていたフローラはユーリスの姿を見止めると立ち上がりはにかんだ顔で出迎える。
思わずきょろきょろと辺りを見回しアーゲイド男爵の姿を探したがひとりで帰ったのかいないようだ。
なぜフローラはひとりで残っているのかと驚いたユーリスは訝しげに首をひねり図らずも冷たい声が出る。
「なぜ、君はまだここにいるのだ」
その声に顔を引き締めたフローラはピンと背筋を伸ばし凛とした雰囲気を醸し出した。
「私は皇帝陛下の命でここにいます。陛下の命がなければここを離れません」
「そんな命令なんの効力もない無視していい」
「いいえ、そのようなわけにはいきません。陛下からあなたを頼むと託されましたから」
「私が婚約破棄をしたのだ、あなたは皇帝の命など気にせず即刻この屋敷を出ていけ」
「ユーリスさまの言動より陛下のお言葉を重視せよと仰せつかっていますので、そのご命令には従えません」
陛下は彼女になにを吹き込んでいるのだ。
毅然とした態度でなにを言ってもてこでも動かないらしいフローラにユーリスはため息をつき頭を抑えるとその右手にはいつもの手袋されてなかった。
「それは、火傷の痕ですか?」
手を見られたことにハッとして後ろに隠したがフローラはユーリスに近付き横に立つと素早く彼の右手を取った。
ベリル執事が呼びに来て食欲はないが重い腰を上げて食堂を訪れた。
そこには居ないはずの彼女が座って待っていた。
不安げな顔で俯いていたフローラはユーリスの姿を見止めると立ち上がりはにかんだ顔で出迎える。
思わずきょろきょろと辺りを見回しアーゲイド男爵の姿を探したがひとりで帰ったのかいないようだ。
なぜフローラはひとりで残っているのかと驚いたユーリスは訝しげに首をひねり図らずも冷たい声が出る。
「なぜ、君はまだここにいるのだ」
その声に顔を引き締めたフローラはピンと背筋を伸ばし凛とした雰囲気を醸し出した。
「私は皇帝陛下の命でここにいます。陛下の命がなければここを離れません」
「そんな命令なんの効力もない無視していい」
「いいえ、そのようなわけにはいきません。陛下からあなたを頼むと託されましたから」
「私が婚約破棄をしたのだ、あなたは皇帝の命など気にせず即刻この屋敷を出ていけ」
「ユーリスさまの言動より陛下のお言葉を重視せよと仰せつかっていますので、そのご命令には従えません」
陛下は彼女になにを吹き込んでいるのだ。
毅然とした態度でなにを言ってもてこでも動かないらしいフローラにユーリスはため息をつき頭を抑えるとその右手にはいつもの手袋されてなかった。
「それは、火傷の痕ですか?」
手を見られたことにハッとして後ろに隠したがフローラはユーリスに近付き横に立つと素早く彼の右手を取った。