仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
「やめなさい」
手を引っ込めようとすると意外と強い力で止められた。
フローラが火傷の痕に触れるのを呆然とユーリスは見つめた。
顔ほどではないが、手の火傷も相当醜いというのに、まるで慈しむように何度も触れる彼女が不思議でならない。
うつむいていたフローラが顔を上げると涙を溜めた瞳に息を呑む。
彼女はそっと仮面に触れようとした。
それをユーリスの左手が止める。
「この下を見ようとはするな。地獄を見ることになる」
フローラにすべてを曝け出したいと思っていた数時間前とは打って変わって断固として素顔は見せまいと睨み威嚇するような鋭い声を放つとフローラはびくりと肩を震わせた。
それ以上は無理に動こうとはせずユーリスを見つめる。
「なら、せめてお傍にいさせてください」
「なぜ」
「私があなたのお傍にいたいのです」
潤む瞳に見つめられユーリスは息をするのも忘れ魅入ってしまった。
「ユーリスさま」
ベリル執事がそっと声を掛けユーリスは我に返った。
「好きにするといい。しかし後悔するのは君だぞ」
フローラの手を離し、ぶっきらぼうにそう言うとユーリスは自分の席に座る。
「今、あなたのお傍を離れた方が私は死ぬほど後悔すると思います。それこそ、地獄に落ちたように」
そんな恐ろしいことをフローラは晴れやかな笑顔で言い切り自分も席に着いた。
それに驚いたユーリスは目を瞠った。
なぜフローラはそんなことを言うのか。
なぜ殺人犯の疑いが掛けられている男の傍にいたいというのか。
ユーリスは疑問が浮かんでは消え何も言うこともできず、料理が運ばれると静かに食事は始まった。
フローラと目が合うと微笑まれてサッと目を逸らす。
それが何度も重なり殆ど話すこともなく沈黙が続いたがその雰囲気はとてもやわらかかった。
手を引っ込めようとすると意外と強い力で止められた。
フローラが火傷の痕に触れるのを呆然とユーリスは見つめた。
顔ほどではないが、手の火傷も相当醜いというのに、まるで慈しむように何度も触れる彼女が不思議でならない。
うつむいていたフローラが顔を上げると涙を溜めた瞳に息を呑む。
彼女はそっと仮面に触れようとした。
それをユーリスの左手が止める。
「この下を見ようとはするな。地獄を見ることになる」
フローラにすべてを曝け出したいと思っていた数時間前とは打って変わって断固として素顔は見せまいと睨み威嚇するような鋭い声を放つとフローラはびくりと肩を震わせた。
それ以上は無理に動こうとはせずユーリスを見つめる。
「なら、せめてお傍にいさせてください」
「なぜ」
「私があなたのお傍にいたいのです」
潤む瞳に見つめられユーリスは息をするのも忘れ魅入ってしまった。
「ユーリスさま」
ベリル執事がそっと声を掛けユーリスは我に返った。
「好きにするといい。しかし後悔するのは君だぞ」
フローラの手を離し、ぶっきらぼうにそう言うとユーリスは自分の席に座る。
「今、あなたのお傍を離れた方が私は死ぬほど後悔すると思います。それこそ、地獄に落ちたように」
そんな恐ろしいことをフローラは晴れやかな笑顔で言い切り自分も席に着いた。
それに驚いたユーリスは目を瞠った。
なぜフローラはそんなことを言うのか。
なぜ殺人犯の疑いが掛けられている男の傍にいたいというのか。
ユーリスは疑問が浮かんでは消え何も言うこともできず、料理が運ばれると静かに食事は始まった。
フローラと目が合うと微笑まれてサッと目を逸らす。
それが何度も重なり殆ど話すこともなく沈黙が続いたがその雰囲気はとてもやわらかかった。