仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
「それは、ずいぶんイタイ思い込みですね」
「ええ、そうです。私があなたの魔法を解いて真実の愛を掴むのだと勝手に思ってました」
恥ずかしそうに顔を赤らめる彼女にユーリスは顔がヒクヒクと引き吊る。
魔法などあるわけもなく、ユーリスの姿が元に戻ることはない。なにを言っているのだと失笑してしまった。
「でも現実は、あなたの顔を見て恐ろしくなって逃げ出しました。あなたに屈辱を与え傷つけてしまったことは今でも悔やんでます。本当にごめんなさい。ただ、これだけは信じてほしいのです。あの頃私はあなたのことが好きでした。私にとってあなたは初めて恋をした大切な方なのです」
顔を上げた彼女が真摯な瞳で見つめてきて、ユーリスは息を吞んだ。
彼女が逃げ出したとき、自分に恋をする者などいないのだと失望した。
あのときの心の傷は今でもユーリスを苦しめ痛めつけていたのだが。
しかし、彼女は彼の人柄に惹かれていたのだ。
自分の内面をちゃんと見てくれていたのだと知ってユーリスは重く圧し掛かっていた重荷が軽くなるような気がした。
言いたいことが言えてすっきりしたのか彼女は笑顔で去っていった。
ユーリスにとっても初恋の相手だった元婚約者と思いがけず再会し苦い思い出が蘇ったが、今は目に映る空のように晴れやかな気持ちだった。
「ユーリスさま」
聞き慣れたかわいい声に呼びかけられ晴れやかな空にピンクの花が舞い上がったような気がして、振り向けば恋する乙女のように頬を染めるフローラがいた。
恋をすると見えるものすべてピンク色に染まるというのはあながち間違っていないのかもしれないとふと思う。
探しに来てくれたのだろう彼女を抱き寄せその太陽のように煌めく髪にキスをした。
やはりこんなに愛しい女性はフローラだけ。淡い初恋など子供のお遊びに過ぎなかったと思う。
真実の愛を知ったユーリスは彼女の笑顔を見るだけで胸が熱くなる。
「フローラ、愛している」
「え、ユーリスさま?」
突然の愛の告白にフローラが目を丸くして彼を見つめれば大好きな瞳が愛しそうに細められる。
フローラは胸がキュンとなって幸せなのになぜだか切なくなって涙が浮かんだ。
「私も、ユーリスさまを愛しています、心から」
愛を伝えるだけで心が幸せに満たされる。
微笑み合うと彼はそっと彼女にキスをした。
「ええ、そうです。私があなたの魔法を解いて真実の愛を掴むのだと勝手に思ってました」
恥ずかしそうに顔を赤らめる彼女にユーリスは顔がヒクヒクと引き吊る。
魔法などあるわけもなく、ユーリスの姿が元に戻ることはない。なにを言っているのだと失笑してしまった。
「でも現実は、あなたの顔を見て恐ろしくなって逃げ出しました。あなたに屈辱を与え傷つけてしまったことは今でも悔やんでます。本当にごめんなさい。ただ、これだけは信じてほしいのです。あの頃私はあなたのことが好きでした。私にとってあなたは初めて恋をした大切な方なのです」
顔を上げた彼女が真摯な瞳で見つめてきて、ユーリスは息を吞んだ。
彼女が逃げ出したとき、自分に恋をする者などいないのだと失望した。
あのときの心の傷は今でもユーリスを苦しめ痛めつけていたのだが。
しかし、彼女は彼の人柄に惹かれていたのだ。
自分の内面をちゃんと見てくれていたのだと知ってユーリスは重く圧し掛かっていた重荷が軽くなるような気がした。
言いたいことが言えてすっきりしたのか彼女は笑顔で去っていった。
ユーリスにとっても初恋の相手だった元婚約者と思いがけず再会し苦い思い出が蘇ったが、今は目に映る空のように晴れやかな気持ちだった。
「ユーリスさま」
聞き慣れたかわいい声に呼びかけられ晴れやかな空にピンクの花が舞い上がったような気がして、振り向けば恋する乙女のように頬を染めるフローラがいた。
恋をすると見えるものすべてピンク色に染まるというのはあながち間違っていないのかもしれないとふと思う。
探しに来てくれたのだろう彼女を抱き寄せその太陽のように煌めく髪にキスをした。
やはりこんなに愛しい女性はフローラだけ。淡い初恋など子供のお遊びに過ぎなかったと思う。
真実の愛を知ったユーリスは彼女の笑顔を見るだけで胸が熱くなる。
「フローラ、愛している」
「え、ユーリスさま?」
突然の愛の告白にフローラが目を丸くして彼を見つめれば大好きな瞳が愛しそうに細められる。
フローラは胸がキュンとなって幸せなのになぜだか切なくなって涙が浮かんだ。
「私も、ユーリスさまを愛しています、心から」
愛を伝えるだけで心が幸せに満たされる。
微笑み合うと彼はそっと彼女にキスをした。