仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
仮面の貴公子皇帝に翻弄される
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「よっ!新婚さん!どうだ結婚した感想は?」
「いつも通りです」
「またまた~幸せ真っただ中なくせに、な~に淡々と仕事しちゃってるわけ~?惚気話のひとつやふたつ聞かせてくれてもよくない?」
「特にありません」
素っ気ないユーリスに口を尖らせ拗ねた皇帝。
ユーリスとフローラの結婚式が行われたのは昨日のこと。
教会で厳かに行われた式は愛と幸せにあふれとても感動したものだ。
新婚なのだからもう少し休んでふたりっきりでいちゃつけばいいものを翌日に仕事に来るとは真面目なユーリスに呆れつつも皇帝は根掘り葉掘り聞き出したくて仕方がない。
「もったいぶらずに聞かせてくれよ。やっと愛する妻を迎えた感想は?新婚生活はどうなんだ?なにか心境の変化はあったか?フローラは幸せそうにしてるか?」
「しつこいですね。なにもお答えできません」
「まさか、早速フローラを泣かせるようなことでもしたのか?」
「そんなわけないでしょう!」
あまりにつれないので皇帝が意地悪な質問をするとユーリスが血相を変えた。
ユーリスとしてはまともに答えようものなら墓穴を掘るとわかっているから何とか誤魔化したいのだが、あらぬ疑いを掛けられるのはたまったものじゃなくそれだけは否定したい。