仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
病気のために早々に退位を考えていた皇帝は宰相になりたてのヒルト伯爵に若き皇帝となるジェイドを支えてもらうつもりでいた。ジェイドもヒルト伯爵を慕っており、ユーリスも弟のようにかわいがっていたのだが、この状況に皇帝は心を痛めた。
そののち予定より早く退位した父に代わり若干十八歳の新皇帝となったジェイドはことのほかユーリスに目を掛けた。
それから十年。大人になったユーリスはめきめきと頭角を現し現在宰相補佐官を務める。
頭脳明晰、品行方正、容姿端麗な彼を誰もが一目置く。
人前に出れば遠巻きに憧れと仮面の下の未知なる姿に畏怖が渦巻く視線が注がれた。
しかし、端正な顔つきから鋭く冷徹な瞳を向けられると皆視線を逸らす。
そしていつのまにか氷の仮面の貴公子と呼ばれるようになっていた。
そんな冷たい視線を振りまくユーリスの肩を叩いた皇帝が窘める。
「またそうやって睨むから誰もお前に近付けないのだ。そうキリキリするな」
「貴方は慣れてるでしょうが、私はあんな珍獣を見るような視線は慣れません。イライラする」
相変わらず毒舌の彼に皇帝はしょうがないなと肩を竦める
顔半分は凛々しく美しいがもう半分は見るも恐ろしい焼けただれた皮膚。
その顔を見てしまった者は悪夢にうなされるとまで言われている。
彼の何を考えているかわからない無表情と仮面が余計にそれを助長させた。
ユーリスを恐れないのは皇帝だけだ。そしてそんな彼を重宝し可愛がっている。
幾つか婚約者を宛がったがなぜか皆逃げ出す始末。
むやみに自分の顔をさらけ出すことはしないが彼の冷徹な対応に嫌気が差してしまうらしい。
彼にも普通の幸せを与えてやりたいと皇帝は亡くなったユーリスの両親を想いよかれと思ってやっているのだがユーリスにとっては余計なお世話だった。
そののち予定より早く退位した父に代わり若干十八歳の新皇帝となったジェイドはことのほかユーリスに目を掛けた。
それから十年。大人になったユーリスはめきめきと頭角を現し現在宰相補佐官を務める。
頭脳明晰、品行方正、容姿端麗な彼を誰もが一目置く。
人前に出れば遠巻きに憧れと仮面の下の未知なる姿に畏怖が渦巻く視線が注がれた。
しかし、端正な顔つきから鋭く冷徹な瞳を向けられると皆視線を逸らす。
そしていつのまにか氷の仮面の貴公子と呼ばれるようになっていた。
そんな冷たい視線を振りまくユーリスの肩を叩いた皇帝が窘める。
「またそうやって睨むから誰もお前に近付けないのだ。そうキリキリするな」
「貴方は慣れてるでしょうが、私はあんな珍獣を見るような視線は慣れません。イライラする」
相変わらず毒舌の彼に皇帝はしょうがないなと肩を竦める
顔半分は凛々しく美しいがもう半分は見るも恐ろしい焼けただれた皮膚。
その顔を見てしまった者は悪夢にうなされるとまで言われている。
彼の何を考えているかわからない無表情と仮面が余計にそれを助長させた。
ユーリスを恐れないのは皇帝だけだ。そしてそんな彼を重宝し可愛がっている。
幾つか婚約者を宛がったがなぜか皆逃げ出す始末。
むやみに自分の顔をさらけ出すことはしないが彼の冷徹な対応に嫌気が差してしまうらしい。
彼にも普通の幸せを与えてやりたいと皇帝は亡くなったユーリスの両親を想いよかれと思ってやっているのだがユーリスにとっては余計なお世話だった。