仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
***

あれからユーリスは夜八時ころには帰ってきて少しだけフローラと話す機会を設けた。
しかし結局フローラが話すばかりでユーリスは短い返事をするばかり。
フローラはユーリスの無表情に最初は少し怯んだものの、言葉少なでもエスコートはきちんとしてくれるし、時折見せるさり気ない気遣いや、使用人に彼女に不都合がないようにしてやってくれと陰で配慮する彼を知って本当は優しい人なのだと感じていた。
睨まれると怖いと思っていた目も最初の頃に比べると穏やかになってきた気がしてそれだけで心が温かくなる。
なにより透き通るような澄んだブルーの瞳の彼はきっと心の綺麗な人だと確信してる。

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