仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
想像通りならあの彼の花嫁候補にと選んだかいがあるというものだ。
よしよしと皇帝はほくそ笑みながら男爵に娘の話を切り出した。
「今年デビューの娘がいるそうだな。どんな娘だ?婚約者はいるのか?」
なぜ娘の話を?と疑問い思いながら汗を拭き拭き男爵は答える。
「は、はい、十七歳になるのですが遅ればせながら今年やっと社交デビューを果たします。田舎育ちの上、自由奔放に育ったせいか少々お転婆なところがありまして。今は婚約者もいなくこれから良い嫁ぎ先を探そうと思っているところでございます」
「そうか」
聡明な想像とは違うがやはり惹かれるものがある。
「良い嫁ぎ先を探していると言ったな?」
「は、はい」
「私が嫁ぎ先を世話をしてやろう」
「へ!?陛下自ら?」
男爵はかなり驚いたが、願ってもない話だと一瞬喜んだ。
がしかし、相手の名を知り男爵は困ってしまった。
「え!宰相補佐官殿ですか……それはどうにも…」
あの仮面の貴公子が相手とは、冷徹で謎が多いという噂がすべてではない、とわかっていても娘を差し出すのは躊躇する。
「まずは婚約者としてふたりを引き合わせたい。後日改めて娘と参るように」
皇帝の有無も言わさない命令に、男爵はただ承諾するしかない。
フローラは彼の八人目の婚約者として選任されてしまった。
よしよしと皇帝はほくそ笑みながら男爵に娘の話を切り出した。
「今年デビューの娘がいるそうだな。どんな娘だ?婚約者はいるのか?」
なぜ娘の話を?と疑問い思いながら汗を拭き拭き男爵は答える。
「は、はい、十七歳になるのですが遅ればせながら今年やっと社交デビューを果たします。田舎育ちの上、自由奔放に育ったせいか少々お転婆なところがありまして。今は婚約者もいなくこれから良い嫁ぎ先を探そうと思っているところでございます」
「そうか」
聡明な想像とは違うがやはり惹かれるものがある。
「良い嫁ぎ先を探していると言ったな?」
「は、はい」
「私が嫁ぎ先を世話をしてやろう」
「へ!?陛下自ら?」
男爵はかなり驚いたが、願ってもない話だと一瞬喜んだ。
がしかし、相手の名を知り男爵は困ってしまった。
「え!宰相補佐官殿ですか……それはどうにも…」
あの仮面の貴公子が相手とは、冷徹で謎が多いという噂がすべてではない、とわかっていても娘を差し出すのは躊躇する。
「まずは婚約者としてふたりを引き合わせたい。後日改めて娘と参るように」
皇帝の有無も言わさない命令に、男爵はただ承諾するしかない。
フローラは彼の八人目の婚約者として選任されてしまった。