仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
***
さて、翌日のこと。
「マリア、ユーリスさまは?」
「先程お出かけになられましたよ?」
それを聞いてフローラははあ〜っと大きなため息を吐く。
「そんなに気にしなくても大丈夫ですよ」
「でも、でも……はああ〜」
フローラは脱力してテーブルに突っ伏してしまう。
昨日の失態を思い出してはこんな調子で見ていてマリアは心が痛む。
あの初めて作ったクッキー。
実は失敗作だったと後から書斎に駆け込んできたグレイによって発覚した。
砂糖が全然足りなかったのだ。甘みもなくぼそぼそと食べにくく到底おいしいとは言えない代物だった。
その頃お皿に乗っていたクッキーはユーリスが平らげてしまって後の祭り。
『わ、私手先が器用じゃなくて!お料理も才能がないみたいです!ごっごめんなさい!』
平謝りのフローラをユーリスは気にしなくていいと言ってくれたものの、昨日は気まずくてまともに顔を合わせられなかった。
そんなフローラを不憫に思ってマリアは自分のしたことを後悔した。
「フローラさまにクッキー作りをお勧めしておきながらグレイに一任してしまった私も悪いのです。グレイったら、教え方があんなに下手だとは全く知りませんでした」
と、反省しきりでシュンとするマリア。
「いいえ、不器用な私が悪いの。グレイもマリアも悪くないわ」
あの後グレイは相当マリアに怒られたようだから申し訳ないことをした。
さて、翌日のこと。
「マリア、ユーリスさまは?」
「先程お出かけになられましたよ?」
それを聞いてフローラははあ〜っと大きなため息を吐く。
「そんなに気にしなくても大丈夫ですよ」
「でも、でも……はああ〜」
フローラは脱力してテーブルに突っ伏してしまう。
昨日の失態を思い出してはこんな調子で見ていてマリアは心が痛む。
あの初めて作ったクッキー。
実は失敗作だったと後から書斎に駆け込んできたグレイによって発覚した。
砂糖が全然足りなかったのだ。甘みもなくぼそぼそと食べにくく到底おいしいとは言えない代物だった。
その頃お皿に乗っていたクッキーはユーリスが平らげてしまって後の祭り。
『わ、私手先が器用じゃなくて!お料理も才能がないみたいです!ごっごめんなさい!』
平謝りのフローラをユーリスは気にしなくていいと言ってくれたものの、昨日は気まずくてまともに顔を合わせられなかった。
そんなフローラを不憫に思ってマリアは自分のしたことを後悔した。
「フローラさまにクッキー作りをお勧めしておきながらグレイに一任してしまった私も悪いのです。グレイったら、教え方があんなに下手だとは全く知りませんでした」
と、反省しきりでシュンとするマリア。
「いいえ、不器用な私が悪いの。グレイもマリアも悪くないわ」
あの後グレイは相当マリアに怒られたようだから申し訳ないことをした。