仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
皇妃と子供たちとフローラが昼食後にゆっくりしてたときのこと、皇帝がブツブツと言いながら現れた。
「まったくユーリスは素直じゃない。手の掛かるやつだ」
ユーリスの名が聞こえてきてフローラはドキッと胸が跳ねる。
皇帝は「おとうさまあ〜」と駆け寄ってきたアリエラを抱き上げソファーに座った。
「父上どうしました?」
利発なレオンハルトが皇帝の横に座る。
「ユーリスを怒らせてしまったのだが、その後全然口を聞いてくれないのだ。私がよかれと思ってやっていることを余計なお世話だと話も聞いてくれない。まったく、あいつの悩みなど、お前たちのように素直になればすぐに解決するのになあ」
アリエラに頬ずりし、レオンハルトを撫で回しふたりの子供たちはうれしそうにキャッキャと笑う。
皇帝は子煩悩な父親そのものでフローラはいつも見ていてほっこりする光景だ。笑いあっている親子を幸せそうに見つめていた皇妃と目が合い微笑み合う。
< 99 / 202 >

この作品をシェア

pagetop