地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 どうして? って思うのは自然なことのはずだ。


 でも如月さんは不機嫌そうにあたしを睨み上げる。

「決定事項だ。文句は聞かん」

「っはい」

 問答無用だった。


 如月さんって、怖い。

 見つめられると見透かされているような気分になるってところもそうだけれど、単純に静かに怒られそうで怖い。


 ……でもその冷たい声だけは聴き心地が良いとか何なんだろう本当。


「……」

 もう行って良いぞ、とか。
 用件はそれだけだ、とか。

 何か言ってくれないかな?


 黙ってジッと見られて、どうすればいいのか分からない。

 あたしから声をかけるしかないのかな?

 そう迷っているとポツリと如月さんの口から言葉が零れた。


「お前……」

 そうして初めて会った時の様におさげを一つ掴まれる。

「え? あの……」

「お前の髪、やっぱり綺麗だな……?」

「え? ありがとう、ございます?」

 どう反応していいのかわからなくて疑問符のついたお礼を口にする。


 いやでも、確か先週初めて会ったときあたしのおさげ放り投げたでしょうが。

 そんなことしておいてまた綺麗とか言われても……。


 色んな意味で困惑しかない。
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