地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「……さてと」
今日も不安気なしのぶをアイコンタクトで渡辺さんに引き渡し、食堂へ一人で行こうとしているところ。
久保くんは無視して行きたいところだけれど、そうやって行こうとすると経験上腕を掴まれるのがオチだ。
今日は何としてでも掴まれない様にしなきゃ。
今までは不意打ちだったから。ちゃんと見ていれば多分かわせるはず!
あたしは慎重に立ち上がって、数歩足を進めた。
パッ
来た!
その瞬間、掴まれそうだった腕をサッと引く。
すると久保くんの手はスカッという効果音がピッタリなほど空を掴んだ。
「……ん?」
しっかり掴めたと思ったんだろう。
おかしいな? という表情で起き上がった久保くんについニヤッと笑ってしまった。
昨日まで散々掴まれていたから、かわせてちょっと嬉しかったんだ。
でもそんな顔を見た久保くんはいい気分ではなかったみたい。
「おい美来。お前手ぇかわしたのか?」
「そうだよ、掴まれたくないもん」
少し不機嫌そうな彼に正直に話すと、すぐにまた腕が伸ばされた。
せっかく初手をかわせたのに次で捕まるわけにはいかない。
あたしはその腕もかわして身をひるがえす。