地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「き、緊張した……」

 そう呟いたのはあたしではなく梅内さん。

 いや、普通緊張するならあたしでしょ? と思いながら彼女を見ると、梅内さんはあたしよりも強張った表情をしていた。


 あ、本当にあたしよりも緊張してるっぽい。


「まさか生徒会長が仲裁してくれるなんて……」

 続けて口にされた言葉にも疑問を持つ。


 仲裁って、あたしと奏の?

 まあ、悪目立ちしてたのを自分に注目を集めて助けてくれたんだろうなってのはあたしにも分かったけれど……。

 っていうかあの人生徒会長なんだ。



「でも最後の『かぐや姫』って何だよ。ずいぶん乙女チックな頭してるんだな?」

 あたしのコッペパンをすでに食べてしまった奏がそう感想を漏らす。

 でもそれには梅内さんが慌てて訂正を入れた。


「あ、かぐや姫って言っても昔話の方じゃないの。なんかね、生徒会長と二人の総長が探してる人らしいのよ」

「探してる人?」

 あたしは奏のコッペパンに手を伸ばしながらそう聞いた。


「そう。確か二年前って言ってたかな? その頃会った変わった目の色をしている女の子が忘れられないみたいで、ずっと探してるらしいよ?」

「へー? でも何で生徒会長だけじゃなくて総長二人もなんだ? 接点なさそうだけど?」

 あたしに取られまいと自分のコッペパンをつかみながら、今度は奏が聞く。


「あ、三人は幼馴染なんだって。暴走族の総長とかやってるけど、総長二人もそこそこの家の次男と三男なんだって」

「ああ、それで総長たちも二階席使ってるのね」

 コッペパンを引っ張りあって半分ゲットしたあたしはそう納得した。

 でも同時に疑問が浮かぶ。
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