地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
そんな事情があるんだ?
ってことはその総長たちは仕方なくそういう役職についてるってこと?
そう思って聞いてみると。
「いや、最初はそうだったかもしれないけど、さっきも言った《かぐや姫》を探すのにも丁度良かったらしくて今じゃ普通に総長やってるみたい」
「……」
とりあえず、その総長たちも結局はあたしの嫌いな不良と同じって認識でいいのかな。
他にも細々としたことを聞いて、昼食を終える。
あたしは最後にお茶を飲み干し、「うん」と頷いた。
「ま、もう転校してきちゃったし仕方ないよね。暴走族がいたり不良が多かったりってのはあるかもしれないけど、こっちから関わっていかなければ大丈夫でしょう」
一通り話を聞いて、そこが落としどころだと思った。
実際不良が多いって言っても生徒の数自体が多いんだから、こっちから関わろうとさえしなければ接する機会も少ないだろう。
そう思っての結論だった。
……なのに、梅内さんは「え⁉」と声を上げあからさまにオロオロし始める。
「……え?」
嫌な予感がした。
「あ、あのね。星宮さん……」
続く言葉を聞きたくないと思った。
でも聞かない方がもっと後悔するだろうことも分かっていた。
だから、聞くという選択肢しかない。
「その、星宮さんの隣の席の人今日いなかったでしょう?」
「……まさか」
「うん、その隣の席の人ね。……《月帝》のNО.3をやってる久保 幹人って人なんだ……」
「…………」
……今日はこのままエスケープしてもいいですか……?