地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「お前、熱いぞ? 熱あるんじゃないか?」

 焦りを滲ませた声が近くで聞こえる。


「美来!?」

 そして見ていられないといった様子のしのぶの声が聞えた。

 近付いてきたしのぶはあたしの額や首筋に手を当てて状態を確認する。


「完全に熱があるね。これ、病院行った方が良いよ」

 そう判断されて、あたしもそうだよねぇと思う。


「あー……でも一旦寮に帰らなきゃ。お金とか保険証とか……」

「じゃあ俺が連れてってやるから、背中乗れ」

「は?」

 久保くんの突然の提案に一瞬頭の痛みも忘れて驚く。


「え? いや、久保くんの世話になるわけには……」

 身の危険も考慮して遠慮すると、呆れたため息をつかれる。


「いいから。俺だって病人相手には手ぇ出さねぇよ。……それに、風邪ひいたのは俺のせいでもあるしな」

 その言葉にまたまた驚いた。

 昨日までは俺のせいじゃねぇよって感じだったのに!?


 良く分からないけれど、何か思うところでもあったんだろうか。

 いつもよりちょっと優しくなっている気がする。


 それに、久保くんのせいってのはもうその通りだ。

 自力では歩くのも怪しいところだし、お言葉に甘えちゃおうかな?

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