地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 ――シャラリ。

 そんな効果音が聞こえた気がした。


 動きに合わせサラサラと舞う黒髪が……。

 その一本一本が宝石か何かの様にきらめいている気がした。


 振り上げた四肢が、吸い込まれるように男達の急所を突くさまはまるで一つの舞を見ているようで……。

 見惚れた。


 ただただ、彼女という存在に心ごと目を奪われた。


 それは俺以外の三人も同じだったらしい。

 誰も一歩も動けず、魅入られていた。



 その時が終わったのはあいつが俺達に気付いたからだ。

 手を挙げて双子の名前を呼んで手伝えと言った。


 俺は、何で俺の名前は呼ばねぇんだよと不貞腐れながら厄介者どもを処理していったっけ。



 ……。

 そんな、昨日のこいつの姿を見たから……。

 だから、他の女とは同じには見れなくなった。


 だからだろう。

 俺がらしくないことをしてるのは。


 そんな風に昨日のことを振り返っているうちに寮に着いた。

「おい、着いたぞ? 鍵どこだ?」

 聞くが、返事はない。


「おい?」

 背中の様子を気にしてみると、苦し気ではあるけど規則正しい呼吸音が聞こえる。


「マジかよ。……寝ちまったのか?」

 悩んだのは数瞬。

 俺は自分の部屋のカギを開けた。
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