地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 今勢いづいている《星劉》の下っ端を無理に抑え込めば、それこそ《星劉》という組織が崩壊しかねないほどに危うい状態だ。

 そのうちそいつらに反発して《月帝》の下っ端どもも動くだろう。


 下手をしたら、二年前同様何らかの方法で発散させなければならなくなるかもしれない。

 二年前の二の舞にならない様に、そちらの方も準備しておくべきか……。


 面倒な策謀を巡らせなくてはならない状況に重いため息をつく。

 もしかしたら今回も、《かぐや姫》がいればすんなり解決出来たのかもしれないな。

 そういう意味でも彼女をこい願う。


 だが、見つからないものには頼れない。

 俺は頭を軽く振ってその願いを閉じ込めた。



 大体、こんな時期に《月帝》の下っ端が退学になんてなったのが悪いんだ。

 せめて別の時期だったら他にも感情の逃がし方は色々あっただろうに……。


 その原因となった女を思い浮かべる。

 地味な女。

 なのに、髪質は綺麗でどこか気になってしまう女。

 地味な格好をしているだけで、《かぐや姫》という可能性はあった。


 だから迫ってみたが、目の色が違うとなるとすぐにその可能性は消えた。

 ……消えた、と思った。
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