地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「なぁに? 人の彼氏の予定勝手に決めないでーとか思ってる?」

「ち、ちがっ! 大体付き合ってないし!」

 香の言葉に慌てて否定するしのぶだけれど、耳が赤くなっている。


「へー。“付き合っては”いないのね? じゃあ一歩手前って感じかぁ」

 そこで奈々がすかさずニヤニヤとからかいに行く。


 揚げ足取りとも取れるけど……。


「しのぶは奏が好きだもんねー?」

 と、あたしも香と奈々に乗っかった。


「なっ!? ちょっと美来までっ!」

 どんどん赤くなるしのぶの頬。

 あたしはニッコリ笑ってさらにトドメの言葉を放った。


「奏もしのぶのこと好きだろうしー」

「っ!?」

 息を詰まらせて、涙目になるほど真っ赤になるしのぶ。

 可愛いけど、ちょっとからかいすぎちゃったかも。


「うぅ……みんなの意地悪……」

 そう言って机に突っ伏すしのぶの頭を香がポンポンと優しく叩いた。


「ごめんって、ちょっとからかい過ぎたね。……でも不貞腐れた顔してたでしょ? カラオケ嫌なの?」

 と話を戻す。


 しのぶは突っ伏した状態から少し顔を上げて答えた。


「……カラオケは嫌じゃないよ。ただ……」

「ただ?」

 言いにくそうに言葉を止めたしのぶに、香がうながす。
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