地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 無表情になった奏は、しばらく黙って歩いてからポツリと呟いた。

「……教室にいるとな、森兄弟がからんでくるんだよ」

「へー。まあ、想像できるね」


 二人は自分たちを声だけで聞き分けられた奏を気に入ってるみたいだった。

 だから奏がよくからまれるっていうのはなんか理解出来る。


「言っとくけど“よく”からんでくる、じゃなくて“常に”からんでくるんだからな?」

「……んん?」

 わざわざ強調して言うので、その言葉の意味を考えてみる。


 よく、じゃなくて常に?

 確か奏と席近いとか言ってた気がするし……。

 まさか!


「授業中も、休憩時間も、ずっと……?」

 まさかまさかという思いで口にした言葉はすぐに肯定される。

「ああ、昼休み以外ずっとな。だから他に友達作りたくても作りようがないんだよ」

 はぁ、と大きくため息をつく奏。


「気に入られてるんだろうなとは思ってたけど、それほどとは……」

 要は常にべったりってことじゃないの?

 まさか二人はそっちの()が!?


 なんて考え始めたところで奏が「違うからな」と睨んできた。

「……あたしの考えてること読まないでよ」

「美来は顔に出過ぎてるだけだっての。……それに、気に入られてるのは俺よりお前の方だろ? 俺はせいぜい女よけに使われてるだけだっての」
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