地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 でもまあ、ナンパ男達がそう簡単に逃がしてくれるわけもなく……。

「おい待てや。無視すんじゃねぇ」

 彼らの一人が奏の肩を掴んで乱暴に引き止めた。


「ああ、すみません。彼女達は俺らと約束してたので」

「三人多いんだ。俺らに貸してくれたっていいだろう?」

「人は貸し借りするものじゃないと思いますが?」


 いきなりぶちのめすわけにもいかないし、奏はあくまでオハナシアイで済ませようとする。


「ね、ねえ。大丈夫なの?」

 香が焦りを滲ませて聞いて来る。

「誰か助け呼んだ方が良いんじゃない? だってあれ、南校の不良でしょう?」

 奈々もあたふたと慌てている。


「南校?」

 あー、確かこの間しのぶをナンパしてたのも南校の不良だっけ?

 本物の“暴走族”がいるとか言う……。


 なにそれ。

 街に出たら本物の暴走族の連中にナンパされるってどんなエンカウント率してるのよ。

 それかしのぶ達がからまれやすいだけなのかな?


 そんな風にのんきに考えていると、いい加減イライラしてきたのか男が奏に殴りかかっていく。

「うっぜぇな! とにかくお前は邪魔なんだよ!」


「っきゃあ!」

 奏の近くにいるしのぶが悲鳴を上げ、あたしの近くにいる香と奈々も「ひっ!」と目を逸らす。
< 246 / 878 >

この作品をシェア

pagetop