地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 まあでも、奏が大人しく殴られるわけがない。

 しのぶを守るようにかばいつつ、男の拳を受け流した。

 そうして男は勢いを変な方向に流され体制を崩す。


 その隙に奏はしのぶをこっちに連れてきた。

「加勢、いる?」

「いらないだろ」

 一応聞いてみるけどやっぱり必要ないって返される。


 ま、だよね。


 あたしはしのぶ達に被害が来ない様に周囲を警戒する。

 でもそんな警戒も必要なかったくらいアッサリ終わってしまった。


 最初の男がやられると他の二人が同時にかかっていったけれど、連携なんて何もない感じで……。

 つまり、両側から飛び掛かって奏が避けただけで自滅した。


 南校の不良は弱いって、本当なんだなぁ……。

 一部始終を見た感想はそれだった。


「さ、またからまれないうちに行くか」

 何事もなかったかのようにそう言って戻ってきた奏。

 そこに、女子三人が群がった。


「奏ー、助けてくれてありがとう!」
「すごい、奏くんって強かったんだね?」
「ちょっと何!? カッコイイんだけど!?」

 わー、奏モッテモテ~。


 でも三人にまとわりつかれながら歩き出す奏はしのぶしか相手にしてない。

 本当にしのぶを大事に思ってるんだな。
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