地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
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 軽快な音楽に合わせてテンポよく喉を震わせる。

 アップテンポのところはノリノリで歌いつつも音程を大事にしてしっかりハッキリ音を出した。


 バラードが得意なあたしだけど、だからと言って他の歌が嫌いなわけじゃない。

 むしろ好きだし、カラオケではそっちの方をよく歌う。

 だって、みんなで楽しく歌うんだから盛り上がる曲の方が良いもんね。


「美来上手いじゃん! 謙遜(けんそん)だったんだね」

 歌い終わると奈々がそう言って絡んできた。

「別に下手とは言ってないよ? 奏の方が上手いって言っただけ」


 そうして次に奏が歌うと……。


「うわっ、ヤバいね。これで顔もイケメンだったら大体の人が惚れるよ」

 香がそんな感想を漏らす。

「あ、ははは……」

 笑って誤魔化したけれど、地味男の格好をしていなかった前の学校ではまさに似たような状態になったことがあるからシャレにならない。


 ちなみにしのぶは完全に推しを見る目になっていたので、そのままそっとしておいてあげた。



 しのぶの興奮が幾分落ち着いたころ、バラードもリクエストされたので予約に入れておく。

 でもその順番が来る前にあたしはトイレに行くことにした。
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