地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「っ!?」

「あたし目薬は離してつけるから、ばい菌とかの心配は多分大丈夫、だか……ら……」

 コンタクトが片方なくても眼鏡を掛ければ誤魔化せたかもしれない。

 でも、とっさのことにあたしはそこに思い至らなかった。


 眼鏡をかけるより先に、しのぶの方を振り向いてしまったんだ……。


「…………美来?」

「あ……」

 何とか誤魔化さないと!

 なんて瞬時に思うけれど、誤魔化し様がなかった。


 しっかり素顔と目の色もバレてしまう。


 素顔だけならまだ良かった。

 今までも何人かにはバレちゃったし、内緒ねって言えば大体秘密にしてくれたから。


 でも、目の色は……。

 この、青みがかったグレーの瞳はバレるわけにはいかなかったのに……。


「美来、だよね? え? でもだって、その目……」

 戸惑いと混乱が見て取れるくらい動揺するしのぶ。

 あたしはそんなしのぶに近付いて、人差し指を彼女の唇に当てて軽く塞いだ。


「見られちゃったのは仕方ないよね? ちゃんと話すから、奏呼んできてもらえる? あ、香と奈々には内緒ね?」

 そう言って指を離すと、コクコクと黙ってうなずいてくれた。
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