地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 おお、美人が美男子になったな。

 なんて感心しつつ、あたしはもう片方のおさげをどうしようか迷っていた。


 いや、悩むまでもなく解くしかないよね。

 予備のゴムは持ってきてないし、一本だときつく結えないからすぐに解けちゃうし。


 これは《かぐや姫》の姿になるしかないか。


 こうなったら逆に諦めもついた。

 あたしはもう片方のおさげも解いて、眼鏡も外す。

 その眼鏡をしまっていると、ジッと見られていることに気づいた。


「……ふーん……」

 目を細めて見下ろしてくる様子に、何だか少し不穏なものを感じる。

 でもそれは本当に少しで、気に留めるほどのことじゃなかった。


 今はそれよりも服をどうするかだ。

 あの人達が服装までちゃんと覚えてるとは思えないけど、万が一ってこともある。

 せめて印象が変わるようにトップスを変えるか、何か羽織るかしたいところだけど……。


「……服もかえたいな……」

 ポツリといった言葉に男が反応した。


「何だそれ? 変装? 今までの方が変装っぽかったけど」

「え? あ、その……まあ、そんなところです」

 聞かせるつもりで言ったわけじゃないから、問われて答えに困る。

 結果、間違ってもいないのでそういう事にした。
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