地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「急いでるっつってたけど、追われてんのか? それで変装?」
「はい、そんな感じです」
今度はほぼほぼその通りなので迷いなく答える。
「ふーん……」
すると彼はまたあたしをジッと見下ろした。
うーん。
あたし、もう行って良いかな?
どう切り出そうかと迷っていると、突然彼があたしの手を掴んだ。
「え?」
「服変えてぇんだろ? ついて来いよ」
そう言って手を引かれる。
「え? ちょっ、ええー?」
問答無用で手を引かれて、ちょっと前の久保くんみたいな人だなって思った。
でも、とりあえずは悪いことをされるようにも思えなかったし、あたしは引かれるまま付いて行った。
あたしを探す人たちの声もどんどん離れていき、少しホッとする。
そうして連れて行かれた先にあったのはアパレルショップだった。
ちょっと派手目な若者が好きそうな店で、あたしの好みじゃなかったけれど。
「ここ、知り合いの店だから。適当なの選べよ」
でも一応親切で連れてきてくれたんだろう。
それに好みじゃなくても丁度良さそうなものもあるかもしれない。
「あの、ありがとうございます」
だからお礼を言ったけれど、彼は意味深な笑みを浮かべるだけだった。