地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 ま、そんな都合のいいことはないか。

 あたしは諦めのため息をついて状況把握につとめた。


 そろそろ広場に入る。

 これだけ開けた場所で人目もあるなら逃げやすいかな?


 そう判断したあたしは銀星さんの隙を見はからって行動に移した。

 今は肩を抱かれているだけ。

 しっかり掴まれているけれど、力の方向を考えれば弱い部分はおのずと分かる。


 あたしは不意を突いてしゃがみ込むことで彼の手から逃れた。

 すかさず前方へ大きく足を踏み出す。


「は?」

 銀星さんの間抜けな声が聞えたけど、構わず距離を取る。

 そのまま走り出し、手が届くことはないよね、って思ったところで少しだけ顔を振り向かせた。


 でも。


「てめっ! 逃げんな!」

 気を取り戻すのが早かったのか、彼はすぐに追いかけてきていた。


 っちょ!? 早いんだけど!


 人込みを抜けながら走っているのに、すぐに距離を詰められ腕を掴まれてしまった。

 すかさずまた力の弱い方向に腕を引きつつ体をひねる。

 そうして逃げ出せたのにまたどこかしら掴まれてしまう。


 銀星さん、強い!


 今まで会った中で一番強いんじゃないかな?

 でもだとするとマズイ。

 互角かあたしより強かったら、捕まってしまう。
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