地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 そう考えてしまったのが気のゆるみにつながってしまったのかもしれない。

 次に掴まれたときにタイミングを逃してしまい、簡単には外れないようしっかり掴まれてしまった。


「おまっ、マジで何なんだ? 可愛い顔して強ぇとか……」

 あたしより強いのかも知れないけれど、流石に本気で相手をしていたみたい。
 銀星さんはあたしと同じくらい息切れをしていた。


「大人しそうな女じゃなくて残念でした。……ってことで離してください」

「やっと捕まえたのに離すかよ」

 まあ、それもそうだ。


 でも、今のやり取りで注目を集めている。

 今なら暴れて叫べば路地裏に連れ込まれる前に何かしらの助けが入るだろう。


 そう思って叫ぶために大きく息を吸い込んだときだった。



「《かぐや姫》?」

 そんな言葉が耳に届いたのは。


「え?」

 つい反応してしまったのが悪かった。

 その隙を突いて、銀星さんはあたしを引き寄せ後ろから抱くような格好で拘束した。


 ヤバッ!


 いくら何でもこれじゃあ身動きが取れない。

「ったく手間取らせやがって」

 耳のすぐ上辺りから低音ボイスが響いてゾクリとしてしまう。


 マズイ、誰か助けを――。


 お巡りさんでも近くにいないかな、なんて希望を抱きながら周囲を見回すと、さっきあたしを《かぐや姫》と言ったであろう人物と目が合った。


 坂本先輩?

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