地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「余計な対立をするつもりはなかったがな……その子――《かぐや姫》に関してはそうもいかねぇよ」

 ピリッとした怒りがこっちにまで伝わってくる。

 そんな中でも銀星さんは楽し気だ。

 あたしの顎を掴み、少し後ろを向かせる。
 互いの顔が見えるようになって、彼はニヤリと悪魔のような笑みを浮かべた。

「そうか、あんたがあいつらの探している《かぐや姫》か」

 まるで面白いおもちゃを見つけたような……どこまでも楽し気な銀星さん。
 彼はそのまま顔を近付けてきた。

「なっ!?」

 驚き、予測する。
 その行為の先にあるのは――。

「んぅっ!」

 容赦のない口づけだった。

 噛みつくようなキス。
 そして舌がねっとりと唇を撫でまわし、割り入ろうとしてくる。

 でも、予測出来てたあたしは絶対にその侵入を許さない。

 顎をしっかり掴まれていて逃げられないあたしの、せめてもの抵抗だった。


 どれくらい経ったのか。
 一分は経ってないと思うけど、早く終わってと思っていたあたしには長く感じた。

 やっと離れた銀星さんは皮肉気に笑う。


「ったく、強情だな」

 その言葉でやっと終わったんだと思った瞬間、耐えていたものがあふれ出した。

「うっふぇ……」

 ボロボロと、涙があふれる。
< 280 / 878 >

この作品をシェア

pagetop