地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 すぐに通話ボタンを押して電話に出た。

「もしもし? 奏? どうしたの?」

 普通に聞くと、怒りと焦りのこもった声が大きく聞こえた。


『どうしたじゃない! お前今どこにいるんだ? 寮に帰ってないだろ!?』

 そういえば何だかんだで結構な時間が経っていた。

 奏はもうみんなと解散して寮に帰ったみたいだ。


「いや、ちょっとあの後色々あって……追われてたっていうか……」

 どう説明するべきかって悩みながら答えていると、近くの二人が会話していた。


「奏ってかなちゃんかよ……」
「マジで美来なんだな……」

 その声が聞こえてたみたいで、奏が反応する。

『ん? 近くに誰かいるのか?』

「あ、うん。勇人くんと明人くん、それと久保くんがいるよ。あ、あとその……ごめん、三人にバレちゃった」

 これは伝えておかないと後でさらに怒られてしまうから、先に言っておく。


『美来……』

 するともう怒る気も失せたのか、力のない声が聞こえた。

『はぁ……とりあえずそいつらとも話したいから、スピーカーにしてもらえるか?』

「え? うん、分かった」

 あたしは言われた通りにスピーカーの画像をタップする。
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