地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 でも確かに本人が近くにいるのに他の人に聞くとかおかしな話。

 あたしは久保くんに向かってもう一度聞いた。


「今朝も聞いた気がするけど、奏のせいでちゃんと聞けなかったし。もう一度聞いていい?」

「っ! え……?」

 見上げた久保くんの表情は軽い驚きと戸惑い。

 聞いちゃダメだったのかな?

 でも今朝は何か言ってくれたよね?


 そう思いなおし久保くんの言葉を待った。

「いや、その……だからっ! ってかそんなにジッと見んなよ」

 そう言って目をそらされてしまったので、やっぱりこれじゃあらちが明かないと思い双子の方に聞く。


「ねえ、どういうこと? 二人は分かったんでしょう?」

 いつものようにあたしの左右を陣取っている勇人くんと明人くん。

 二人は二人で視線を合わせて困ったような笑みを浮かべる。


「あー、まあ……分かったけどな」
「でも美来が分からないならそれはそれで良いんじゃねぇ?」

「えー? 気になるんだけど」

 仕方ないので推理してみた。


 二人はあたしの素顔を見て納得したって言った。

 ってことは、あたしの素顔に原因があるってことか。


 確かにあたしは十人中十人が可愛いって言うくらいの容姿はしていると思う。
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